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海外赴任の住民票どうする?抜く・残すを単身/帯同別に人事が解説|住民税・児童手当・年金への影響一覧

海外赴任の住民票は1年以上なら抜く(海外転出届)が原則。ただし単身赴任なら抜くのは本人だけです。住民税・児童手当・018サポート・年金・健康保険・NISAへの影響を単身/帯同/1年未満の3ケース一覧表で整理。赴任者を約5年送り出してきた人事が、漏れやすい手続きの順に解説します。

海外赴任住民票住民税児童手当人事部員視点

海外赴任の住民票は、赴任期間が1年以上なら「抜く」(海外転出届を出す)が原則です。ただし単身赴任で家族が日本に残るなら、抜くのは本人の分だけ。家族の住民票はそのままで構いません。

私は人事企画9年目で、海外赴任者を送り出す側の実務(給与・税金・社会保険)を約5年担当してきました。赴任が決まった人から一番多く受けた質問が、この「住民票はどうすれば?」です。

迷う理由ははっきりしています。住民票が住民税・児童手当・年金・健康保険・NISAに連動しているのに、全体像をまとめて教えてくれる場所がないからです。この記事では判断基準を先にお渡しして、6つの制度への影響をケース別の一覧表で整理します。

あなたの状況まず読むところ
単身赴任(家族は日本に残る)単身赴任のやることリスト
家族も一緒に行く(帯同)帯同のやることリスト
赴任期間が1年未満の予定1年未満のやることリスト
まず全体像を知りたい6制度への影響・早見表

結論:判断は「1年以上か」と「家族がどこに住むか」の2つで決まる

私の答え:1年以上なら本人は抜く。家族の分は「家族がどこに住むか」で別々に判断する。この2つで、私が受けてきた相談の9割は決まっていました。

フローチャートにするとこうなります。

  1. 赴任期間の予定は1年以上ですか? → いいえ(1年未満):全員そのまま(残す)が原則。やることリストへ
  2. はい(1年以上):本人は海外転出届を出す(抜く)
  3. 家族はどうしますか? → 一緒に出国(帯同):家族の分も抜く / 日本に残る(単身赴任):家族の住民票はそのまま

住民票は「生活の本拠」の登録で、国外に生活の拠点を移すときの転出届は住民基本台帳法にもとづく届出です。自治体の案内では「おおむね1年以上」の海外滞在が転出届の目安とされています。

1年以上の赴任なのに住民票を残すと、住んでいない日本で住民税がかかり続けます。「残しておいた方が何かと便利そう」という理由だけで選ぶと、コストだけが残る結果になりがちです。

なお、多くの会社は赴任規程や手続きガイドで転出届を前提にしています。会社の案内と迷ったら、人事の担当部署に「転出前提の設計か」を確認してください。ここは会社によって案内が分かれる、数少ないポイントです。


早見表:住民票と6つの制度の連動一覧【単身・帯同・1年未満】

制度単身赴任(本人だけ抜く)家族帯同(全員抜く)1年未満(全員残す)
住民税(本人)出国翌年度から課税なし。当年度分は納付が続く同左かかり続ける
児童手当受給者の変更手続きで継続停止(帰国後に再申請)継続
018サポート(東京都)子どもが都内在住なら継続原則対象外(都へ要確認)継続
年金(本人・厚生年金)変化なし変化なし変化なし
年金(帯同配偶者)変化なし(国内在住のため)海外特例の届出で第3号を継続変化なし
健康保険本人・家族とも変化なし家族は海外特例の届出で被扶養者のまま変化なし
NISA・証券口座住民票と無関係に手続きが必要同左契約先への確認は必要

この表で一番お伝えしたいのは、制度ごとに「見る場所」が違うことです。住民税は1月1日の住民票、児童手当は子どもの居住地、年金と健康保険は会社との雇用関係、NISAは税法上の居住実態。住民票を抜くかどうか「だけ」で全部が決まるわけではありません。ここが一番誤解されています。

以下、制度ごとに順番に見ていきます。


住民税:1月1日にどこに住民票があるかで決まる

私の答え:出国日ではなく「1月1日にどこにいたか」がすべてです。出国後も当年度分の支払いは続きます。止まらなくても、間違いではありません。

住民税は、毎年1月1日に住民票のある市区町村が、前年の所得に対して課税する仕組みです。徴収は6月から翌年5月まで。

だから出国しても、すでに始まっている年度分の残りは納めます。会社員の場合、残額を最後の給与や賞与からまとめて天引き(一括徴収)するのが一般的です。「海外にいるのに引かれている」のではなく、「日本にいた年の分を払い終えていない」だけです。

なお、赴任中の給与から引かれる「みなし住民税」は、この本物の住民税とは別のものです(会社が手取りを日本勤務時に揃えるための社内の控除で、納め先はありません)。仕組みは海外赴任のみなし税とは?で解説しています。

一方、翌年1月1日に住民票がなければ、翌年度分はかかりません。

金額で見てみます。年収600万円の会社員なら、住民税はおおよそ年30万円です(扶養構成などで変わる概算)。12月末に出国するか1月初めに出国するかで、この約30万円が1年分変わります。出国日を自分で選べる場面は多くありませんが、知らずに1月出国して6月の納税通知で驚く——送り出す側として何度も見てきた光景です。

逆に、帰任のタイミングはここまで神経質になる必要はありません。住民税の対象になる「前年の所得」に、海外赴任中(非居住者の期間)に受け取った給与・賞与は含まれないからです。12月末に帰任して年内に国内で給与を受け取っていなければ、翌年度の課税所得は0円。年末に帰るか年始に帰るかで、住民税は実質的に変わりません。住民票を戻すタイミングの悩みも含めて、帰任時のお金は別の記事で詳しく扱います。

ふるさと納税をしている人は1点だけ注意してください。出国する年の寄付は、翌年度の住民税がなくなることで控除の引き先を失う部分が出ます。ワンストップ特例が使えず確定申告が必要になるケースもあります。制度の基本は会社員のふるさと納税完全ガイドで確認できます。

出国後にいつまで・いくら払うのか、出国月別の早見表と精算方法(一括徴収か天引き継続か)は海外赴任の住民税はいつまで払う?で詳しく解説しています。


児童手当と018サポート:「子どもがどこに住むか」で決まる

私の答え:単身赴任なら受給者を配偶者に変える手続きを忘れずに。帯同なら停止を受け入れて、帰国後すぐの再申請をカレンダーに入れておく。手当は遡って復活しません。

児童手当の柱は「子どもが国内に住んでいること」です(3年以内の留学など例外はあります)。金額は0〜2歳が月15,000円、3歳から高校生年代が月10,000円(第3子以降は月30,000円)です。

単身赴任の場合、子どもは国内に残るので手当は続きます。ただし受給者(生計の中心者)が海外転出するなら、国内に残る配偶者への受給者変更が必要です。自治体の窓口で、今の受給者が受給事由消滅届を、配偶者が新しい認定請求を出します。この2つはセットです。

放置すると支給が止まるだけでなく、手続きが遅れた月分は遡って受け取れません。転出の手続きと同じ日に済ませてください。

家族帯同の場合は、子どもも出国するため停止します。1歳の子なら月15,000円、年18万円が対象外になる計算です。帰国したら転入手続きとあわせてすみやかに再申請してください。支給は申請の翌月分からで、空白期間の分は戻りません

018サポート(東京都の子育て支援)は、都内在住の0歳から18歳までに月5,000円、年6万円が支給されます。各月1日時点で都内に住所があるかで判定されるため、海外転出をすると原則として対象から外れます。単身赴任で子どもが都内に残るなら継続します。

ただし都の案内では一時的な海外留学中の子どもは対象とされ、「一時的」かどうかの判断は都が行うとされています。海外赴任の帯同がこれに当たるかは個別の判断になるため、転出前に018サポート給付金コールセンター(0120-056-018)へ確認してください。制度が新しく要件の変更もあるため、最新は都の公式サイトもあわせて確認をお願いします。

帯同で1年海外に出ると、児童手当と018サポートを合わせて年24万円(1歳児・都内在住のモデル)が止まります。「止まる前提」で赴任中の家計を組んでおくと、慌てません。


年金と健康保険:会社員は「会社に籍がある限り」ほぼそのまま

私の答え:本人は何も変わりません。危ないのは帯同する配偶者の「第3号」。海外特例の届出、これが出国前の漏れの定番です。

まず本人。日本の会社との雇用関係と給与の支払いが続く限り、厚生年金も健康保険もそのまま続きます。住民票を抜いても変わりません。「住民票を抜くと年金が途切れる」という話は、国民年金に自分で加入している自営業の方などのケースです。なお、現地法人への転籍など出向の形態によっては扱いが変わるため、辞令の形式が特殊な場合は会社に確認してください。

次に、帯同する配偶者。会社員の配偶者(第3号被保険者)は、保険料の負担なしで国民年金の加入期間になる仕組みですが、2020年4月から国内居住の要件が入りました。ただし海外赴任への同行は「海外特例要件」に該当します。勤務先を経由して「国民年金第3号被保険者関係届」を提出すれば、第3号のまま継続できます。

この届出の重みを金額にすると、国民年金保険料は月17,920円(令和8年度)、年間で約21万5千円です。届出は「払わずに加入期間を守る」ための1枚だと考えてください。漏れると未納扱いの期間ができて、将来の年金額に直接響きます。

健康保険の家族にも、同じ構造の国内居住要件と海外特例があります。帯同家族が被扶養者のままでいるための届出もセットで必要です。海外で払った医療費は「海外療養費」で一部が戻りますが全額ではないため、会社が付ける駐在員向け保険の内容も出国前に確認しておいてください。

送り出す側の実務感覚で言うと、出国前の書類で漏れやすいのは「国民年金第3号被保険者関係届」と「健康保険の被扶養者(異動)届」の2枚です。どちらも勤務先を経由して提出します。会社の担当部署に「帯同家族の届出はそちらで出しますか、自分で出しますか」と一度聞いておくのが確実です。


NISA・証券口座:住民票ではなく「非居住者かどうか」で決まる

私の答え:「住民票を残せばNISAを続けられる」は誤解です。判定は住民票ではなく生活の実態。出国が決まったら、証券会社への連絡からは逃げられません。

税金の世界の「非居住者」は、住民票の有無ではなく生活の実態で判定されます。1年以上の予定で海外勤務に出る場合、原則として出国した日の翌日から非居住者です。住民票を残していても、証券会社への届出義務は消えません

NISAは非居住者になると新規の買付ができなくなります。ただし会社命令による転勤・駐在であれば、出国前に「非課税口座継続適用届出書」を提出することで、最長5年間は非課税のまま保有を続けられます(自己都合の海外移住・留学は対象外です)。

期限は出国日から5年後の年末まで。それまでに帰国届を出さないとNISA口座は停止し、保有商品は課税口座へ移されます。かつては対応する証券会社が限られていましたが、楽天証券・SBI証券をはじめ大手ネット証券は対応しています。細かい条件は会社ごとに異なるため、出国前に自分の証券会社へ確認してください。

何も連絡せずに放置すると、規約違反として口座凍結などの扱いを受けるおそれがあります。「面倒だからそのままにしたい」気持ちは分かりますが、手続きそのものは難しくありません。確認の電話1本から始まります。

SBI証券と楽天証券を併用している人・使い分けを考えたい人は新NISAのSBI証券vs楽天証券比較も参考にしてください。


ケース別・出国前にやることリスト

単身赴任(家族は日本に残る)

  1. 本人の海外転出届を出す(転出予定日の14日ほど前から受付)
  2. 児童手当の受給者変更(受給事由消滅届+配偶者の認定請求)
  3. 住民税の残額の精算方法を給与担当に確認(一括徴収か)
  4. 証券会社・NISAの非居住者手続き
  5. マイナンバーカードの国外継続利用の申請(海外転出届と同時・転出予定日の前日まで。2024年5月27日から国外転出後も使えます)
  6. 日本の携帯番号を維持する手続き(銀行・証券のSMS認証に必要。→携帯番号の維持方法・3社比較

家族の住民票・018サポート・健康保険は変わりません。

家族帯同

  1. 全員分の海外転出届
  2. 児童手当の受給事由消滅届(帰国後の再申請を今のうちにカレンダーへ)
  3. 018サポートは原則対象外(該当するか都へ要確認・都内に戻ったら再申請)
  4. 配偶者の「国民年金第3号被保険者関係届」(海外特例要件)を会社に確認
  5. 家族の「健康保険の被扶養者(異動)届」も忘れずに
  6. 証券会社・NISAの手続き(口座は夫婦それぞれ)
  7. 日本の携帯番号を維持する手続き(夫婦それぞれ。→携帯番号の維持方法・3社比較

1年未満の予定

  1. 住民票は全員そのまま(原則)
  2. 住民税・児童手当・018サポートは変わらない
  3. 証券会社の扱いは期間と契約により異なるため、連絡だけは入れておく
  4. 予定が延びて1年以上になりそうなら、その時点で転出届の出し方を自治体に相談する

まとめ

  • 住民票の判断は「1年以上か」「家族がどこに住むか」の2つで決まる。1年以上なら本人は抜く、単身赴任なら抜くのは本人だけ
  • 制度ごとに見る場所が違う。住民税は1月1日の住民票、児童手当は子どもの居住地、年金・健保は会社との雇用関係、NISAは生活の実態
  • 出国前の漏れの定番は児童手当の受給者変更3号・被扶養者の海外特例届の2つ
  • NISA・証券口座は住民票と無関係に手続きが必要。「残せば続けられる」は誤解
  • 迷ったら、会社の担当部署への確認が最短。「転出前提の設計か」「特例届はどちらが出すか」の2つを聞けば足りる

注:本記事の内容は2026年7月時点の情報に基づいています。制度の最新情報は次の公式サイトをご確認ください。 児童手当:こども家庭庁/018サポート:東京都/年金・健保の海外特例:日本年金機構(従業員の家族が海外居住の場合の手続き)/マイナンバーカードの国外利用:マイナンバーカード総合サイト/非居住者の税:国税庁


マネパパ

マネパパ

30代会社員・人事企画部門・JGCホルダー。従業員持株会を3年で停止し、インデックス投資(新NISA・iDeCo)に全面移行。 マイルで乳幼児連れリゾート旅行を実践中。数字とリアルにこだわった発信を心がけています。

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