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海外赴任でNISAはどうなる?売却不要・最長5年保有できる手続きを人事が解説【継続適用届出書】

海外赴任が決まってもNISAの売却は不要です。会社命令の赴任なら「非課税口座継続適用届出書」で最長5年、非課税のまま保有できます(新規買付は停止)。楽天証券・SBI証券の手続き、出国前チェックリスト、単身赴任世帯の続け方まで、赴任者を送り出してきた人事が解説します。

海外赴任NISA海外赴任の資産運用人事部員視点

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海外赴任が決まっても、NISAで積み立てた資産を売却する必要はありません。会社命令の赴任なら、出国前に「非課税口座継続適用届出書」を証券会社に出すことで、最長5年間、非課税のまま保有し続けられます。ただし、新しい買付と積立は帰国まで停止します。

証券会社のFAQにも同じことは書いてあります。ただ、「非課税口座継続適用届出書」「出国届」「常任代理人」と見慣れない手続き名が並んでいて、自分が何をどの順番でやればいいのかが分かりにくい。読みかけて閉じた人も多いはずです。

私は人事企画9年目で、海外赴任者の送り出し実務を約5年担当してきました。この記事では、赴任が決まった人が知りたい順番——資産はどうなるか、何を選べるか、いつ何をするか——で整理します。

あなたの状況まず読むところ
まず結論と選択肢を知りたい選択肢は3つ
楽天証券・SBI証券の手続きを知りたい証券会社別の手続き
出国までに何をすればいいか出国前チェックリスト
単身赴任。家族は日本に残る世帯で積立を止めない方法

結論:選択肢は3つ。ほとんどの人は「持ち続ける」でいい

私の答え:積み上げた資産と含み益を守る、という目的なら答えは1つです。継続適用届出書を出して持ち続ける。売却は、手続きとしては最後の選択肢です。

出国が決まったNISA利用者の選択肢は3つあります。

選択肢中身向いている人
(1) 非課税のまま持ち続ける継続適用届出書を提出。最長5年、非課税で保有継続。新規買付は停止赴任期間が5年以内の会社員(大半の赴任者)
(2) 課税口座に移して持ち続けるNISA口座を廃止し、一般口座へ払い出し(移行・移管)赴任が最初から5年を超える見込みの人
(3) 売却して現金化出国前に手仕舞い近く使う予定のあるお金だった人

(1)が使えるのは、勤務先からの転任命令などやむを得ない事由による出国の場合です。自己都合の海外移住や留学は対象外です。会社の辞令で赴任するあなたは、まさにこの制度の対象者です。

ここで、送り出す側としてよく聞かれることを1つ。「3年の予定だったのに、延長になったらどうなりますか」——海外赴任の延長は珍しくありません。当初3年の辞令が5年になり、6年目に入ることも実際にあります。

結論として、出国の時点で5年以内の見込みだったのなら、(1)を選んで問題ありません。継続適用の手続きは出国前にするものなので、そのときの見込みで判断すれば足ります。後から延長になったことで、当初の判断が間違いだったことにはなりません。非課税で保有できる期間には上限がありますが、期限が近づいたら証券会社から案内があるのが通常なので、そのタイミングで改めて考えれば十分です。「延長になるかもしれないから」という理由で、いま売却を選ぶ必要はありません

(2)を選んでも、資産が没収されるわけではありません。払い出しの時点の時価が新しい取得価額になるため、それまでの含み益には課税されないまま、課税口座での運用に切り替わります。5年超の長期赴任が最初から分かっている場合の現実的な選択肢です。

逆に、払い出し(一般口座への移管)の時点で値下がりしていると、その安い時価が新しい取得価額になります。その後に元の水準まで戻ると、自分の実感としては損益ゼロでも、課税対象の利益が出た扱いになります。移管のタイミングは、有利にも不利にも働きます

いずれにしても、「出国するから全部売るしかない」は誤解です。慌てて売却の注文を出す前に、この記事のチェックリストまで読んでください。


なぜ買付は止まるのか:NISAは「日本に住む人」の制度

私の答え:NISAの非課税は居住者向けの優遇だからです。ただし2019年度の税制改正で「持ち続ける」道ができました。ここは制度が赴任者に歩み寄った部分です。

NISAは日本の居住者を対象にした制度です。海外赴任で税法上の「非居住者」になると対象から外れるため、新しい買付ができなくなります。毎月の積立設定やクレジットカード積立も、出国前に解除が必要です。

かつては、もっと厳しい制度でした。出国すればNISA口座は廃止するしかなく、「何年も積み立ててきた非課税の資産はどうなるんですか」という相談を、送り出す側として何度も受けました。2019年度の税制改正で継続適用の枠組みができて、ようやく「辞令一枚で非課税枠を手放す」状況が解消された——そういう経緯の制度です。

継続適用のルールは3つだけ覚えれば足ります。

  1. 出国の前に「非課税口座継続適用届出書」を証券会社へ提出する
  2. 非課税で保有できるのは継続適用届出書を出した日から5年を経過する年の年末まで(証券会社の案内では「出国から5年後の年末まで」と表記されることが多く、通常は同じ年になります)。帰国したら「非課税口座帰国届出書」を出して再開する
  3. 期限までに帰国届を出さないと、NISA口座は廃止され、保有商品は課税口座へ払い出される

3のケースでも含み益への課税は発生しませんが、非課税の枠は失います。帰国したら帰国届——これだけは赴任中も覚えておいてください。


楽天証券・SBI証券の手続き

私の答え:大手ネット証券は両社とも継続適用に対応しています。やることの骨格は同じで、「出国の連絡→書類提出→積立解除」の3点です。

項目楽天証券SBI証券
継続適用届出書対応対応
手続きの入口サイトの「海外出国の手続き」ページからサイトの「海外出国時(非居住者)の手続き」ページから
新規買付・積立出国前に解除が必要出国前に解除が必要
帰国後帰国届出書で再開帰国届出書で再開

細かい提出書類や受付方法は変わることがあるので、最新は各社の案内で確認してください。ここで押さえてほしいのは、どちらの会社でも「出国が決まったらまず連絡」が最初の一歩だということです。書類の取り寄せから受理まで時間がかかるため、出国直前の駆け込みが一番危険です。

なお、NISA口座と別に持っている特定口座(課税口座)の扱いは、証券会社によって対応が大きく分かれます。特定口座を含めた「口座全体をどうするか」は海外赴任で証券口座はそのままでいい?で解説しています。

SBI証券と楽天証券のどちらをメインにするか迷っている人(これから帰国後の体制を考える人)は、新NISAのSBI証券vs楽天証券比較も参考になります。


出国前チェックリスト:時系列でやることは4つ

  1. 内示が出たら:赴任期間の見込みを確認する(5年以内か)。証券会社のサイトで出国時の手続きページを読む
  2. 出国2〜3ヶ月前:証券会社に出国予定を連絡し、非課税口座継続適用届出書を取り寄せて提出する
  3. 出国の前月まで:積立設定・クレジットカード積立を解除する。出国日をまたぐ自動買付が残っていると、非居住者の買付になってしまうため、解除は早めが安全です
  4. 帰国したら:非課税口座帰国届出書を提出して、積立を再開する

配偶者もNISAをやっていて一緒に出国する(帯同する)場合は、夫婦それぞれの口座で同じ手続きが必要です。どちらか一方だけ済ませて安心してしまうのが、実務で見かける漏れのパターンです。


単身赴任なら、世帯の積立は止まらない

私の答え:止まるのはあなたの口座だけです。日本に残る配偶者は居住者のままなので、配偶者のNISAはこれまで通り使えます。

単身赴任で家族が日本に残る場合、非居住者になるのはあなただけです。日本に残る配偶者のNISAは、口座も積立も何も変わりません

赴任中の世帯の資産形成をどうするかは各家庭の判断ですが、制度の事実として、あなたの積立が止まっている間も配偶者の非課税枠は生きています。赴任手当で家計に余裕が生まれる時期でもあるので、「世帯としての積立をどこで続けるか」を出国前に夫婦で話しておく価値はあります。

配偶者がまだNISA口座を持っていない場合、開設には通常数週間かかります。出国後に海外から家族の口座開設をサポートするのは骨が折れるので、検討するなら出国前がスムーズです。

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日本に残る家族の新NISA口座をつくる

単身赴任中も世帯の積立を止めない選択肢。楽天証券は楽天銀行との連携(マネーブリッジ)で自動入金ができ、日本に残る家族がひとりでも管理しやすい設計です。

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よくある疑問4つ

Q1. 保有分の分配金や値上がりは、赴任中も非課税?

継続適用中にNISA口座で保有している分の値上がりと分配金は、非課税のままです。ただし、非居住者が受け取る配当には赴任先の国の課税など別の論点があります。投資家向けの詳しい話は、別の記事で解説します。

Q2. クレカ積立のポイントはどうなる?

積立自体を出国前に解除するので、クレカ積立のポイントも止まります。帰国して積立を再開すれば、その時点の条件でポイント付与も再開されます。赴任中だけの一時停止と考えてください。

Q3. iDeCoや企業型DCも同じ手続き?

別の制度なので、手続きも別です。iDeCoは、日本の会社に籍があって厚生年金に加入し続けている赴任者なら、掛金の拠出も運用も継続できます。拠出が止まって運用の指図だけを行う立場になるのは、国民年金の被保険者でなくなる場合(自己都合の海外移住など)です。企業型DCも、会社に籍がある限り継続が基本です。

ただし手続きや必要書類は金融機関によって異なります。赴任が決まったら、iDeCoの運営管理機関にも連絡してください。海外赴任と企業型DC・iDeCoの詳しい話は、今後別の記事で扱う予定です。

Q4. 手続きが面倒。黙ってそのままにしたらダメ?

気持ちは分かりますが、証券会社の規約上、出国の届出は義務です。放置すると口座凍結などの扱いを受けるおそれがあります。「そのままにしたい」と考えている人に向けて、放置すると実際に何が起きるかを海外赴任で証券口座はそのままでいい?に整理しました。判断はそれを読んでからでも遅くありません。


まとめ

  • 海外赴任が決まってもNISAの売却は不要。会社命令の赴任なら継続適用届出書で最長5年、非課税のまま保有できる
  • 新規買付・積立は帰国まで停止。積立とクレカ積立の解除は出国の前月までに
  • 期限は継続適用届出書を出した日から5年を経過する年の年末まで。帰国したら帰国届を忘れない
  • 5年を超える赴任見込みなら、課税口座への払い出しが現実的(それまでの含み益には課税されない)
  • 単身赴任なら日本に残る配偶者のNISAは止まらない。世帯の積立をどこで続けるかは出国前に相談を

注:本記事の内容は2026年7月時点の情報に基づいています。制度の詳細は金融庁 NISA特設ウェブサイト、証券会社の手続きは各社の公式サイトをご確認ください。


マネパパ

マネパパ

30代会社員・人事企画部門・JGCホルダー。従業員持株会を3年で停止し、インデックス投資(新NISA・iDeCo)に全面移行。 マイルで乳幼児連れリゾート旅行を実践中。数字とリアルにこだわった発信を心がけています。

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